
玉藻
あたし? いちお薬師。
ひょんなことから、この鎌倉で
妖狐に出会ったんだけど……
玉藻「お前の魂は美しい。よっ
てこの俺と契ることを許そう」
だって////
いとおかし。はあ……薬つく
ろ。
そんなこんなで、今日は玉藻と
一緒にお花見にやってきたの
だ。
バサバサバサッ
え!? 何!?
あたしの前に降り立ったのは、
真っ黒な翼を持った男の人。
鞍馬だ!
鞍馬「小娘。どいていろ」
玉藻「その女に手を出すな」
カキーンカキーンザシュッ
あっと言う間に戦いが始まっ
ちゃった。
どうしよう、風の刃でせっかく
の桜が台無しだ……
「二人とも! やめて!」
ここだけの話。実はあたしには
特別な力がある。
玉藻と契ったから。
シャイーンピカッ
「桜は散らすものじゃなくて
……愛でるものだよ」
鞍馬「この俺から呪力を奪うと
は、侮れんな」
玉藻が妖しくあたしに囁いた。
玉藻「さすがは俺の選んだ女だ」
玉藻「桜の花を守る優しいお前
の心を、一生俺に愛でさせてく
れ」
桜吹雪の舞う下で……この時の
あたしは知らなかった。
これが、後にあたしが伝説の薬
師と言われるきっかけとなるな
んて……